【11月26日 AFP】(更新)イラン当局は、スパイ罪で禁錮10年の判決を受けイランで2年以上収監されていた豪英二重国籍の研究者、カイリー・ムーアギルバート(Kylie Moore-Gilbert)氏を、イラン人3人の身柄と引き換えに釈放した。イランの国営テレビが25日、釈放の様子を伝えた。

 ムーアギルバート氏は中東の専門家で、豪メルボルン大学(University of Melbourne)でイスラム学を教えていた。釈放後、オーストラリア政府を通じて発表した声明で、800日以上に及んだ収監について「長く、精神的な苦痛の大きな試練」が終わったとコメント。「不当な仕打ち」に耐え続けなければならなかったが、それでもイランを離れるのは「ほろ苦い」経験になるだろうと述べた。

 また、「私は友人として、友好的な意図をもってイランに来た」と訴え、イランの人々は「心温かく、思いやりがあって勇敢だ」とたたえた。

 国営イラン放送(IRIB)のウェブサイトは、イラン国旗を羽織った男性3人の映像と、駐イラン豪大使に付き添われたムーアギルバート氏の映像を掲載。「外国で虚偽の告発により拘束されていた実業家とイラン市民2人が、二重国籍のスパイ1人と引き換えに解放された」と伝えた。「スパイ」はイスラエルのために情報活動をしていたと主張しているが、身柄交換について詳細は明かしていない。

 一方、タイ当局は26日、首都バンコクで2012年に爆破未遂事件を起こしたとして逮捕・収監していたイラン人3人の身柄を本国に送還したことを明らかにした。うち2人は受刑者で、残る1人は今年8月にタイ王室から恩赦を与えられたとしている。

 イラン側は昨年9月、ムーアギルバート氏を逮捕したことを認めた。だが、実際は2018年から身柄を拘束されていたとみられている。ムーアギルバート氏は容疑を全て否認している。(c)AFP