【11月25日 AFP】米カリフォルニア州で死刑囚や凶悪犯を含む受刑者ら約2万人が、新型コロナウイルス関連の失業給付金を受け取っていたと、検察当局が24日、明らかにした。確認されただけでも、総額1億4000万ドル(約146億円)に上り、米国史上最大級の詐欺事件だという。

 同州サクラメント(Sacramento)郡のアン・マリー・シューバート(Anne Marie Schubert)地方検事は会見で、刑務所内から新型ウイルス関連の失業給付金の違法な申請があったと報告を受け調べたところ、受刑者の名前を使用した申請が多数見つかったと述べた。

 すでに約2万人の受刑者に計1億4000万ドルが支払われたことが確認されているが、これは3月から8月までの州刑事施設の記録に基づいた「速報値」であり、実際の被害額は何倍にもなる可能性がある。

 このうち計42万ドル(約4400万円)以上が、約130人の死刑囚に支払われていたことも分かった。中には4人の女性を殺害し、ポケットに切り取った被害者の胸の一部を入れて1998年に出頭したウェイン・フォード(Wayne Ford)死刑囚ら有名な連続殺人犯も含まれていた。

 違法申請の多くは受刑者の実名と社会保障番号、実在する住所を使用。給付金支給手段として使用され、カリフォルニアをはじめ全米各州の世帯に送付されたデビットカードを入手していた。

 今回こうした不正受給が可能だったのは、他州と異なりカリフォルニア州では、新型ウイルス流行を受けたロックダウン(都市封鎖)が始まった3月以降の失業給付申請者名を、受刑者や死刑囚の名簿と突き合わせていなかったためだとシューバート検事は説明している。

 同州では新たに対策本部を設置し、先月に一部の確認を行ったところ、「レイプや児童への性的犯罪、人身売買やその他の凶悪犯罪で州の刑事施設に収監されている者」に給付金が支給されたことが判明したという。(c)AFP