【11月25日 AFP】パキスタンで23日、カンボジアの保護区に移されるゾウのお別れ会が開かれ、音楽が演奏され、温かいメッセージが読み上げられた。移送されるのは、パキスタンで飼育されている唯一のアジアゾウで、動物の権利保護活動家らが長年にわたり移送するよう訴えていた。

 35歳の雄のゾウ、カーバン(Kaavan)が置かれた悲惨な状況については、国際社会から怒りの声が上がっていた。ゾウは鎖につながれて、心に傷を負っていたと報告されており、飼育するイスラマバード動物園(Islamabad Zoo)の劣悪な環境に対しては厳しい視線が注がれた。そして5月には、裁判所から動物園にいるすべての動物の移送が命じられた。

 カンボジアへの移送に向けては、大きな金属のおりに入って長旅をすることに慣れさせるための特別なトレーニングが施された。気候変動省(環境省)の報道官は、移送は今週末に行われることを発表した。

 これを受けて動物好きの人々が集まり、お別れ会を開催。カーバンのために、地元のバンドの演奏などが行われた。

 カーバンの飼育環境の改善は、米歌手のシェール(Cher)さんが長年にわたり働きかけを行ってきたことが助けとなり、実現に至った。

 動物園側は以前、カーバンが鎖でつながれていたことを否定し、2012年にパートナーに先立たれたため新たな相手を熱望しているのだと主張していた。しかし、カーバンがしきりに頭を振り動かすような行動をとるなど、心の病気のではないかとの懸念が生じた。(c)AFP