【11月25日 AFP】反移民を掲げるオランダの欧州連合(EU)懐疑派政党「民主主義フォーラム(FvD)」は24日、極右ポピュリストとして知られるティエリー・ボーデ(Thierry Baudet)氏が党首を辞任したと発表した。FvD青年部のメンバーらがインターネットのチャットグループで、ナチス・ドイツ(Nazi)を賛美するメッセージを発信したことによる引責辞任とみられる。

 FvDの党首は暫定的に、レナート・ファン・デル・リンデン(Lennart van der Linden)副党首が務める。

 FvDは2016年の結党以来、急速に台頭したが、青年部のチャットグループがナチス礼賛や反ユダヤ主義、同性愛嫌悪といったメッセージを発信したことで、同じく急速に混乱状態に陥っている。

 党の発表に先立ち、ボーデ氏自身も23日夜に党首辞任を発表していた。議員辞職はしないという。このビデオメッセージの中で同氏は、自らの辞任は「メディアによる裁き」のせいだと非難し、青年部のチャットをめぐる党指導部の判断は性急すぎだと主張した。

 現地紙ヘット・パロール(Het Parool)によると、FvD青年部のチャットグループでは、ある学生が「ユダヤ人は小児性愛者の国際ネットワークを持っている」と投稿していた。この学生は、「(ナチスが掲げた)国家社会主義は、史上最高の経済戦略だ」とも述べていた。さらに、ナチス政権下のユダヤ人迫害で最大の役割を果たしたナチス親衛隊(SS)のモットー「忠誠こそわが名誉」を掲げた動画へのリンクも投稿していた。

 青年部の別のメンバーは2019年のサマーキャンプの際、SSの歌を携帯電話の着信音にしていた。このメンバーはドイツ旅行中に博物館で、1942年に出版されたユダヤ人憎悪本「ウンターメンシュ(Der Untermensch、劣等人種の意)」を見学した後、「この古典的な名作を実際に見る栄誉に浴した」と投稿もしていた。さらに別のメンバーは同性愛嫌悪をテーマとしたジョークを投稿していた。

 これらの投稿に懸念が持ち上がったとき、FvD青年部の幹部らは投稿者ではなく内部告発者の処分に乗り出し、少なくとも5人を除名したとヘット・パロールは報じている。(c)AFP