【11月24日 AFP】フランスで23日、同国で最も名高い士官学校で8年前に新入生向けの「通過儀礼」の最中に訓練生が死亡した事件の裁判が始まり、軍人7人が出廷した。

 西部ブルターニュ(Brittany)にあるサンシール陸軍士官学校(ESM Saint-Cyr)は1802年、皇帝ナポレオン・ボナパルト(Napoleon Bonaparte)が創立した。

 今回出廷したのは、当時の訓練生5人と、同校の指導的立場にあった将官1人を含む2人。

 訓練生のジャラル・ハミ(Jallal Hami)さん(24)は2012年10月29日、同校の伝統を新入生に教えるためとして行われた儀式的な訓練の一環で、沼地を泳いでいた際に水死した。

 ハミさんが死亡した夜、新入生らは沼地の43メートルを、ヘルメットをかぶったまま泳いで渡るよう指示された。水温は9度で、浜辺への上陸訓練を模したものだったとされる。

 新入生らを助けるため、救命ベルトが投げ入れられたものの、ハミさんはその時点で行方が分からなくなっていた。

 1時間後に通報を受けた消防隊が午前2時35分、沼地のほとりでハミさんの遺体を発見した。

 ハミさんの兄は、今回の裁判を通して「軍の機能不全」が弟の死につながったことが明示されるべきだと話した。

 ハミさんは1992年、アルジェリア内戦を逃れ、母と兄弟と共に渡仏。サンシール陸軍士官学校への入学を長年希望していた。

 エリート養成校のパリ政治学院(Sciences Po)を卒業し、中国語を学び、スポーツに秀でていたハミさんはその資質が認められ、最初から3年生として入学していたという。(c)AFP