【11月25日 AFP】混雑した空港に、検査施設前の長い列──。米国では、今月26日の感謝祭(Thanksgiving)を機に新型コロナウイルスの感染が拡大する恐れがあるとして当局が自制を呼び掛けているにもかかわらず、多くの人が親類一同でこの日を祝う計画を立てている。

 感謝祭は、多くの米国人にとってはクリスマスより大事な休暇だが、保健当局は、全面的な移動制限は行っていないものの、このたび初めて移動を控えるよう呼び掛けている。

 1日当たりの新規感染者が15万人以上となり、これまでの死者が世界最多の25万6000人を超えている米国では、大半の州で知事が自宅のダイニングルームを新型ウイルスの温床にしてはならないと注意を促している。

 米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)所長は自ら模範を示そうと、今年の感謝祭は妻と2人だけで祝い、成人した3人の娘たちとは「ズーム(Zoom)」を通じて乾杯することにしたと明らかにした。

 だが空港の保安検査を管轄する運輸保安局(TSA)によると、先週末は、全米の空港を利用した乗降客数が300万人を超え、新型ウイルスが流行し始めて以来「最も混雑した週末」となった。前年の700万人に比べると半分以下とはいえ、保健当局は、感染者が12月に壊滅的なレベルにまで急増する恐れがあると懸念している。

 ニューヨークをはじめ、多くの都市ではこのところ、安心して親類を訪ねるために自分が陰性であることを確認しようとする人々で検査施設の外に行列ができている。だが保健当局は、誰かと集まる数日前に検査をしても、感染リスクが取り除かれるわけではないとくぎを刺している。

■「予定変更はまだ間に合う」

 ニューヨーク州ロングアイランド(Long Island)出身のメアリー・ペレス(Mary Perez)さん(54)は、感謝祭には毎年、親類が35人は集まるが、今年は州知事が発表した「10人まで」という制限を少しオーバーし、大人5人と子ども6人の計11人で祝う予定だとAFPに話した。

「違反してるとは思わない。子どもたちは数に入れられない。子どもを残して親だけ来るわけにはいかないでしょ」

 今年3月に新型ウイルスが流行し始めて以来、休暇は感染拡大のきっかけとなっている。7月4日の独立記念日(Independence Day)、9月のレーバー・デー(Labor Day)、10月のハロウィーン(Halloween)が終わった後、いずれもそうだった。

 冬になって初めての休暇となる感謝祭の場合、感染拡大のリスクははるかに大きい。大勢の学生が帰省し、多くの場合、実家で1月まで過ごすからだ。

「予定変更はまだ間に合う」と、米ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)の防災問題の専門家、メーガン・マクギンティー(Meghan McGinty)氏は23日、感謝祭の移動を控えるよう訴えた。(c)AFP/Catherine TRIOMPHE