【11月24日 AFP】オーストラリアのスコット・モリソン(Scott Morrison)首相は23日夜、オーストラリアが米国の「言いなり」だというイメージは対中関係を「いたずらに悪化させるものだ」と非難し、オーストラリアのような国々が米中対立の板挟みにされるべきではないと訴えた。

 モリソン氏は、英ロンドンで行われた英シンクタンク「ポリシー・エクスチェンジ(Policy Exchange)」の討論会にオンライン出席。中国からの圧力の高まりを非難する一方、オーストラリアが米国の「言いなり」だというイメージは間違っており、豪中関係を「いたずらに悪化させるものだ」と非難した。

 さらに、オーストラリアは干渉を受けることなく自国の利益を追求する権利を保持しつつ、米中両国との「互恵的な」関係を求めていると訴えた。

 中国はオーストラリアにとって最大の貿易相手国となっているが、もともと良くなかった両国の関係は過去数か月でさらに悪化した。

 中国政府は先週、オーストラリアの政策に対する抗議項目が列挙された文書を配布。抗議項目には、中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ、Huawei)」の第5世代移動通信システム(5G)からの排除や、新型コロナウイルスの発生源に関する調査の要求などが含まれている。

 さらに、中国の意向に逆らったことに対してさらに大きな代償を払わせるため、オーストラリアの輸出品を標的に経済制裁を科した。

 モリソン氏によると、いずれ欧州諸国を含む世界の国々が中国の強制外交にさらされる見込みで、オーストラリアはその苦難の一端を前もって味わっているにすぎないという。

 一方でモリソン氏は、米大統領選で勝利を確実にしたジョー・バイデン(Joe Biden)氏の次期政権を念頭に、オーストラリアのような国々は、覇権を争う米中のどちら側に付くかを迫られるべきではないと主張。「世界トップクラスの大国には、パートナー国や同盟国それぞれの国益に配慮できるだけの度量の大きさが求められる」と訴えた。(c)AFP