【11月24日 AFP】ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇(Pope Francis)は23日、新型コロナウイルス対策に反対するデモを、米国で黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)さんが白人警官に膝で首を押さえ付けられて窒息死した事件をきっかけに世界中で相次いだ人種差別に対する抗議デモの中で見られた「健全な憤り」と比較して批判した。

 フランシスコ教皇は、英国のジャーナリスト、オーステン・アイブリー(Austen Ivereigh)氏との対談をまとめた新著「Let Us Dream(夢を見よう)」の中で、「マスク着用の強制は国家による不当な押しつけ」だと主張する人々を批判。

 さらに、「一部のグループは抗議行動を行い、対人距離の確保を拒否し、移動制限を破ってデモ行進した。各国政府が国民のために課した措置があたかも自主性や個人の自由に対するある種の政治的な攻撃であるかのように!」と述べた。

 フランシスコ教皇は、「ああいった人たちがジョージ・フロイドさんの死に抗議したり、子どもたちが水や教育を十分に得られない貧民街や、収入がまったく無くなった家庭が存在することに抗議するデモをしたりするのを見たことがない」 「あの人たちがこうした問題に抗議することは決してない。あの人たちは自分たちの関心がある小さな世界から出ることができない」などと述べた。

「よりよい未来への道筋」という副題が付けられた同書は、主に新型ウイルス危機に対するフランシスコ教皇の対応について書かれている。

 フランシスコ教皇は、「一部の例外を除いて、各国政府は国民の福祉を最優先し、健康を守り、命を救うため毅然(きぜん)として行動している」と述べた。(c)AFP