【11月21日 AFP】世界最高峰エベレスト(Mount Everest)の山頂近くで、微量のマイクロプラスチックが確認されたとする論文が20日、科学雑誌「ワンアース(One Earth)」に掲載された。毎年数百人の登山者らが使う登山用具に由来するとみられている。

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 標高8848メートルのエベレスト山頂に続く登山道は長年、蛍光色のテントや廃棄された登山用具、空のガスボンベ、さらには凍った排せつ物までもが散乱しており、「世界で最も高い所にあるごみ捨て場」とも呼ばれている。

 米誌ナショナル・ジオグラフィック(National Geographic)とスイスの高級時計メーカー、ロレックス(Rolex)の取り組み「パーペチュアル・プラネット(Perpetual Planet)」による2019年エベレスト遠征隊は、同山頂のマイクロプラスチックを調べる初の調査を実施。その結果、海抜8440メートルもの高所でマイクロプラスチックが発見され、エベレストがプラスチックの汚染物質にさらされている可能性が明らかになった。ただし、濃度は山中のベースキャンプの方が高かった。

 論文を執筆した英プリマス大学(University of Plymouth)の研究者で、ナショナル・ジオグラフィックの探検家でもあるイモージェン・ナッパー(Imogen Napper)氏は、「採取した標本には、かなりの量のポリエステルやアクリル、ナイロン、ポリプロピレンといった繊維があった」と述べている。

 エベレストの登山者らが着るアウトドア用衣類の大多数は、合成繊維でできている。テントや登山用ロープなどの装備品も同様だ。

 ナッパー氏は、「こうした種類のアイテムは、飲食物の容器などよりよほど深刻な汚染源になっているのではないかと私たちはみている」と述べている。

 プラスチックごみと、細かく砕けた微粒子はここ数年、主要な環境汚染源になっている。海洋に流れ込むプラスチックは年間最大1200万トンに上り、内陸の水路や埋め立て地にはさらに数百万トンが蓄積していると考えられている。(c)AFP