【11月21日 AFP】米製薬大手ファイザー(Pfizer)とドイツの製薬ベンチャー、ビオンテック(BioNTech)は、共同開発している新型コロナウイルスワクチンについて、米国で緊急使用許可を申請しており、米製薬大手モデルナ(Moderna)も近々、同様の動きに出るとみられている。ワクチンの承認や供給の手順に関して今後の流れを以下にまとめた。

■ワクチン評価は直ちに開始

 米食品医薬品局(FDA)は、ファイザーとビオンテックが行ったワクチン臨床試験(治験)の結果について、直ちに評価を開始する。

 FDAが着目するのは、ワクチンの安全性と有効性。ファイザーとビオンテックは、このワクチンで95%の有効性が示されたと発表している。

 FDAのスティーブン・ハーン(Stephen Hahn)長官によると、ワクチンの承認プロセスには、感染症や小児科、生物統計学の専門家と業界の代表者らが参加するFDAのワクチン諮問委員会での公開会議などが盛り込まれている。

 だが詰問委員会の勧告には拘束力がなく、ワクチン承認の最終判断はFDAの科学者らが下す。

■12月半ばまでに緊急使用許可が

 米政府のワクチン開発計画「ワープ・スピード作戦(Operation Warp Speed)」のモンセフ・スラウイ(Moncef Slaoui)氏によると、FDAは早くて12月半ばまでに緊急使用許可を出す可能性がある。

 ただし、世界的な健康危機を受けての条件付き承認となり、投与されるのは特定層に制限される。

 例えば、ファイザーは18歳未満には広範囲でのワクチン治験を行っていないため、子どもはワクチン供給の対象から外される。最前線で働く医療従事者や介護施設の高齢者らが、おそらく最初にワクチンを接種されるとみられる。

 ワクチン供給の優先順位については、別の米政府機関である疾病対策センター(CDC)が判断する。

 欧州や英国、カナダ、日本、オーストラリアではこの手順がやや異なり、規制当局は複数のワクチン製造者が行う治験のデータについて、絶えず見直しを行っている。