【11月21日 AFP】中国国営の中国中央テレビ(CCTV)は20日、同国の有人深海潜水艇「奮闘者号(Fendouzhe)」が、地球で最も深い海底凹地(くぼち)であるフィリピン東部のマリアナ海溝(Mariana Trench)の海底に到達した様子を撮影した動画を配信した。

 CCTVによると、奮闘者号には研究者3人が乗っており、配信された動画には、暗い海水の中を同艇がゆっくりと海底に到達する様子が捉えられている。

 奮闘者号は今月10日、人類がこれまでに到達した最深の地点であるマリアナ海溝のチャレンジャー海淵(かいえん、Challenger Deep)まで潜航し、有人深海潜水艇の中国記録を水深1万909メートルまで更新。これは、2019年に米国人探検家が打ち立てた世界記録の1万927メートルまであと一歩の数字だ。

 奮闘者号は中国が製造した3隻目の有人深海潜水艇で、研究者はCCTVに「海底にいる多くの種や生物の分布」を観察していると語った。マリアナ海溝の海底にも多くの生命がいることが分かっており、中国人研究者らは研究用に標本を採集する予定だという。

 中国は深海掘削を推し進めており、CCTVによると、今回のミッションでは「深海の物質」の調査も実施される。

 中国政府は今月、国際海底機構(ISA)と共同で研究訓練センターを設立。同センターでは、深海関連テクノロジーの専門家の研修や、海底資源の採掘に関する調査が行われる。(c)AFP