【11月21日 AFP】ブラジル南部のスーパーで19日夜に黒人男性が白人の警備員らに殴られて死亡した。この事件を受けブラジル各地で20日、抗議デモが行われた。この日は、同国の「黒人意識の日(Black Consciousness Day)」に当たっていた。

 事件が起きたのは、リオグランデドスル(Rio Grande do Sul)州の州都ポルトアレグレ(Porto Alegre)にあるフランスのスーパーチェーン大手カルフール(Carrefour)の店舗。近くにいた女性が携帯電話で撮影した動画はSNSに投稿され、国内メディアも報道した。

 動画には、溶接工のジョアン・アルベルト・シルベイラ・フレイタス(Joao Alberto Silveira Freitas)さん(40)が、スーパーの警備員の1人に体を押さえ付けられ、もう1人に顔と頭を何度も殴られている様子が映っている。シルベイラ・フレイタスさんは暴行を受けている最中に意識を失い、医師らが蘇生を試みたが、その場で死亡した。

 警備員を呼んだのは女性店員で、同州の軍警察は、シルベイラ・フレイタスさんがこの店員を脅していたとしている。

 スーパーの警備員は2人とも逮捕されたが、このうちの1人は、アルバイトをしていた軍警察官であることが分かっている。

 現場にいたシルベイラ・フレイタスさんの友人は、ニュースサイトG1の取材に、シルベイラ・フレイタスさんは警備員に殴られながら「息ができないと悲鳴を上げていた」と話し、米ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で今年5月に黒人のジョージ・フロイド(George Floyd)さんが白人警官に膝で首を押さえ付けられて窒息死した事件を連想させた。米国では、この事件後、各地で大規模な抗議行動が相次いだ。

 今回の事件の様子を映した動画が拡散される中、サンパウロ(Sao Paulo)ではカルフールの店舗に約1000人がデモ行進した。店の窓ガラスに投石し、店内の商品を壊したり燃やしたりする人々もいたとAFPカメラマンが伝えている。

 地元のテレビによると、抗議デモは、事件が起きたポルトアレグレのスーパーの前でも行われ、警察は催涙ガスと閃光(せんこう)を放つ手りゅう弾を使用してデモ隊を排除した。同様の抗議デモは首都ブラジリア、ベロオリゾンテ(Belo Horizonte)、リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)でも行われた。

 カルフールのブラジル子会社は、シルベイラ・フレイタスさんの「無残な死」に遺憾の意を表し、「今回の刑事事件に関わった者たちに責任を取らせる」ため、適切な措置を講じると約束した。(c)AFP/Jordi MIRO