【11月20日 AFP】中国の国有製薬大手「中国医薬集団(シノファーム、Sinopharm)」は、同社が開発し第3相試験中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンについて、既に約100万人が接種したと発表した。ただ、ワクチンの有効性を示す臨床に基づいた明確な証拠は公開していない。

 シノファームの劉敬楨(Liu Jingzhen)董事長(会長)は18日発表のインタビューで、100万人近くが緊急使用許可に基づきワクチン接種を受けたが、「深刻な副反応(副作用)の報告は一件も受けていない。ほんの少数に軽度の症状が見られた」と説明した。

 昨年末に世界で初めて新型コロナ感染者が見つかった中国は、ワクチン開発に強気で臨んでおり、7月から公務員や留学生、海外出張者などにワクチン候補を投与してきた。現在は4種類のワクチンが最終段階の第3相臨床試験中だ。

 国内では感染がおおむね封じ込めに成功していることから、臨床試験の多くは海外で行われている。シノファームも、開発中のワクチン2種類の第3相臨床試験をアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、エジプト、ヨルダン、ペルー、アルゼンチンなどで実施している。

 シノファームは今週、自社のワクチン開発状況について「あらゆる面で世界をリードしている」と主張したが、ワクチンの有効性や安全性を裏付ける臨床試験の結果は明らかにしなかった。(c)AFP