【11月24日 AFP】コロナ禍で世界経済は後退したが、多国籍企業が受ける影響は業界によってばらつきがあるとする調査結果を19日、イタリアの銀行メディオバンカ(Mediobanca)が発表した。大半の企業が負け組となった一方、一部企業はこの危機的状況において大成功を収めている。

 メディオバンカは、年間売上高が30億ユーロ(約3700億円)以上の多国籍企業160社余りを対象に調査を実施。2020年1~9月期の決算報告を前年同期と比較したところ、平均で4.3%売上高が減少したことが分かった。以下に主だった業界の調査結果をまとめた。

■勝ち組

<インターネット>

 最大の勝ち組は、オンライン小売業者も含めたインターネット関連企業だ。オンライン小売業の売上高の約3分の1は、インターネット通販最大手の米アマゾン・ドットコム(Amazon.com)が占めている。インターネット業界全体で見ると、売上高は18.4%増、純利益は21.8%増に跳ね上がった。

 メディオバンカは、各国政府が新型コロナウイルスの感染拡大防止対策としてさまざまな制限措置を講じた中、インターネット大手はそうした措置から利益を上げる方法や消費者の志向の変化を理解した上で、「コロナ危機のさなかにイノベーション力を発揮し、柔軟に対応してきた」と指摘している。

 料理宅配サービスは好況で、売上高は47%増加。ゲーム販売業とオンライン小売業はそれぞれ40%、33%増加している。

 一方、オンライン旅行市場の売上高は52%減少した。

<小売り>

 大規模小売り各社の売上高は8.8%増、純利益は19.2%上昇した。多くの企業が推進したオンライン販売は販売経路の80%を占めるまでに増加し、売り上げ全体を底上げした。

 メディオバンカは、「制限措置の影響を受けなかった食品小売り大手は、飲食店の営業制限、在宅勤務の利用、消費者の備蓄傾向の恩恵を受けた」と報告している。

<IT>

 IT業界は、新型ウイルスの感染拡大を受けて企業のデジタル化とクラウド化が進んだ恩恵を享受した。人工知能(AI)と次世代通信規格「5G」業界も活況だった。IT業界全体の売上高は5.7%増、純利益は11.6%増となった。