【11月28日 Xinhua News】中国新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)昌吉回族自治州の奇台県で、考古学研究者らが10世紀前後の高昌回鶻(天山ウイグル王国)時代に作られたとみられる公共浴場跡を発見した。同県は天山山脈の北麓に位置しており、発掘調査は3年に及んだ。

 発掘の責任者を務めた中国人民大学(Renmin University Of China)考古文化博物学部の魏堅(Wei Jian)教授によると、浴場遺跡が出土したのは同県唐朝墩(とうちょうとん)古城の北東部で、中心部にあるれんが造りの主体建築と東側の土れんがの建物、北側中央のかまど跡、両端の井戸などで構成されている。総面積は約400平方メートルで、玄関フロアと作業エリア、入浴エリアの三つに分かれていた。

 浴場は半地下式で、上下2層構造になっている。地表より低い下層部には煙道や熱供給などの設備があり、地表より高い上層部は浴場空間になっていた。魏氏によると、上下層をそれぞれ独立させた建築方式はローマ時代の「建築十書」にも紹介されていると指摘。列柱で天井を支えた下層部の熱供給システムは、風呂釜から出た煙を煙道で流動させることで「床暖房」効果を生み出し、上層部の室内温度を保っていたと説明した。

 遺跡が見つかった唐朝墩古城は7世紀前半の唐代初期に築城され、高昌回鶻、モンゴル・元の時代を経て14世紀になると次第に荒廃した。考古学研究者は層位関係や出土遺物から、浴場が高昌回鶻時代に建設され、モンゴル・元代にも改築を経て使われ続けたと結論づけた。出土した陶製のつぼやたらい、四角いれんがなどは、唐朝墩古城遺跡のその他の発掘エリアから出土した高昌回鶻~モンゴル・元時代の遺物と一致しているという。

 浴場の規模や建物の格式の高さ、使用期間の長さ、また繰り返し修繕されていることなどから、魏氏はこの浴場が都市の公共浴場だった可能性が高いとしている。(c)Xinhua News/AFPBB News