【11月19日 AFP】台湾の放送事業などを監督する国家通信放送委員会(NCC)は18日、親中派メディアとして知られるテレビ局「中天電視(CTi)」について、熱烈な親中派の大株主の介入が報道の自由を侵害していることを理由に、放送免許を更新しないと発表した。NCCが放送免許の更新を認めないのは今回が初めて。

 介入が問題とされたのは、中天電視の大株主で富豪の蔡衍明(Tsai Eng-meng)氏。蔡氏は食品事業などで知られる旺旺集団(Want Want Group、ワンワングループ)の代表を務め、中国本土に手広く投資しており、自身の露骨に中国寄りな政治的信条を所有するメディアに押し付けたとして、批判されてきた。

 NCCは、中天電視の報道に直接的、間接的に介入したとして、蔡氏を非難した。

 NCCの決定をめぐっては、与党・民主進歩党(DPP)が尊重するとする一方、中国寄りの野党・国民党(KMT)は厳しく批判している。

 国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(RSF)」は「報道の自由とは、規制がないことを意味するものではない」として、NCCの決定を支持すると発表。検証した全ての証拠を公表し、今後の放送免許の更新に当たっては、申請者の政治的信条にかかわらず同じ基準を適用するよう求めた。

 中天電視は、フェイスブック(Facebook)に「報道の自由は死んだ」と投稿し、NCCの決定を厳しく非難。不服を申し立てる意向を示した。

 NCCによると、中天電視は近年、市民からの苦情が最多となっており、裏付けが不十分な報道や事実と異なる報道などをしたとして、23回罰金を科されてきた。(c)AFP