【11月19日 Xinhua News】プラスチック製品は現代の生活に利便性をもたらすとともに、環境汚染も引き起こしている。中国科学技術大学(University Of Science And Technology Of China)の兪書宏(Yu Shuhong)院士(アカデミー会員)のチームはこのほど、「指向性変形アセンブリ(directional deforming assembly)」と呼ばれる方法を用い、生体模倣構造を持つ高性能材料を開発した。石油ベースのプラスチックよりも優れた機械・熱性能を持ち、その代替品となる可能性があるという。

 現在のプラスチックのほとんどは石油製品であり、廃棄後に分解されにくく、持続的な環境汚染を引き起こしている。一方でバイオ材料にはコストや製造難度の高さなどの問題があり、普及と実用化の足かせとなっていた。

 兪氏のチームは今回、生体模倣構造の設計理念を「指向性変形アセンブリ」と呼ばれる新材料製造方法へと発展させ、セルロース・ナノファイバーと二酸化チタンで表面をコーティングした雲母板を結合させることで生体模倣構造を持つ高性能のサステナビリティー(持続可能性)構造材料を開発した。

 新材料は真珠母の構造を模して設計されており、エンジニアリングプラスチックをはるかに上回る強度と非常に高い強じん性、亀裂成長抵抗性を持つことが実験により実証された。マイナス130度からプラス150度の温度でほぼ変化せず、収縮・膨張性の強いプラスチックと比べ明らかな相違性がある。室温環境下での熱膨張係数は大多数のプラスチックの10分の1程度しかないという。

 今回の研究成果はこのほど、国際学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。(c)Xinhua News/AFPBB News