【11月19日 AFP】1966年のサッカーW杯(World Cup)決勝でハットトリックを記録したことで知られる元イングランド代表のジェフ・ハースト(Geoff Hurst)氏は、同世代の元選手の多くが認知症に苦しんでいることを受け、全年代の子どものヘディングを禁止すべきだと述べた。

 これまで複数の同大会優勝メンバーが認知症と診断されており、先月にはハースト氏の元チームメートであるノビー・スタイルズ(Nobby Stiles)氏が死去。イングランド・プレミアリーグ、マンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)のレジェンドであるボビー・チャールトン(Bobby Charlton)氏も先日認知症を患っていることが分かった。

 また、チャールトン氏の兄ジャック(Jack Charlton)氏やレイ・ウィルソン(Ray Wilson)氏、イングランドが旧西ドイツを4-2で下した同大会の決勝で同じくゴールを決めたマーティン・ピータース(Martin Peters)氏も認知症と診断され、この3年の間に命を落としている。

 英国ではすでに12歳以下のヘディングが禁止されているが、ハースト氏はその対象を全年齢の子どもに広げることに賛成している。

 存命の優勝メンバーが自身を含め4人となる中、ハースト氏は「非常に強力で道理にかなった提案になるはず」と英大衆紙デーリー・ミラー(Daily Mirror)にコメントした。

「脳が発達していない若い時期に(ヘディングを)やめることに目を向けねばならないと思う」「それが子どもや草の根のサッカーの楽しみを破壊することになるとは思わない」

 昨年公開された、ウィリー・スチュワート(Willie Stewart)博士が率いる研究結果では、サッカー選手は一般の人と比べ脳の変性疾患で亡くなる可能性が著しく高いことが示された。

 しかし、国際プロサッカー選手会(FIFPro)の医務部長を務めるバンサン・グッテバルジュ(Vincent Gouttebarge)氏は、繰り返しヘディングをすることと神経変性疾患の関係を立証するには、さらなる科学的証拠が必要だと主張している。(c)AFP/Kieran CANNING