【11月18日 AFP】シリア北東部アルホル(Al-Hol)の過密状態の避難民キャンプから、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の家族とみられる人を含む500人以上のシリア人が退去した。クルド自治政府当局者が16日、明らかにした。

 ハサケ(Hassakeh)県にあるアルホルのキャンプを取材したAFP記者は、トラックに荷物を積み込んだり、出発前に子どもたちに食べ物を与えたりする女性らの姿を確認した。中には鶏や羊を連れている人もいた。

 その中の一人、ファーティマさん(31)は、キャンプのテントに子ども7人と身を寄せていたが、ようやく東部デリゾール(Deir Ezzor)にある自宅に帰ることができると喜んだ。「私たちの家がある地域は、今は安定しており安全で、このキャンプにいるほとんどの家族が帰宅を望んでいる」

 キャンプを運営するクルド自治政府当局者によると、120世帯、515人がデリゾール東部地域に戻るという。

 クルド人主体の民兵部隊「シリア民主軍(SDF)」の政治部門「シリア民主評議会(SDC)」も避難民らがキャンプから退去したと発表している。

 国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、アルホル避難民キャンプには6万人以上が収容されている。この中には、約2年前にシリア国内のIS最後の拠点制圧のための戦闘中に拘束されたり、強制退去したりしたシリア人2万4300人が含まれている。

 アルホル避難民キャンプに数万人いる外国人の大半はイラク人で、欧米を含む約50か国出身のIS戦闘員の家族とされる人たちも収容されている。

 これ以前にも、故郷のアラブ人部族から保証を受けたシリア人約6000人が数回に分けてキャンプを退去している。

 クルド自治政府当局によると、新たな制度の下で、シリア人さらに1万人がキャンプを退去する見込みだという。脱走を試みた人に警備員が刺される出来事が発生するなど、避難民キャンプが「大きな負担」になっていると当局は述べている。(c)AFP