【11月18日 AFP】米上院司法委員会で開催された公聴会で17日、共和党重鎮が米インターネット交流サイト(SNS)大手フェイスブック(Facebook)とツイッター(Twitter)を「究極の編集長」のようだと非難する中、両社の最高経営責任者(CEO)は、米大統領選をめぐる誤情報への自社の対応を正当化した。

 接戦となった今回の米大統領選で、ソーシャルメディアは選挙運動期間中の政治的投稿への対応をめぐり、左派・右派の両方から非難を浴びている。

 これを受け、米上院ではこの1か月足らずで2回目の公聴会を開催。両SNSによる「ニュース記事の検閲と不掲載」および「2020年米大統領選の対応」について、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)CEOとツイッターのジャック・ドーシー(Jack Dorsey)CEOがビデオ会議システムを通じて証言した。

■通信品位法230条

 公聴会の冒頭、上院司法委員会委員長で共和党重鎮のリンゼー・グラム(Lindsey Graham)上院議員は、2社が民主党ジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領の息子が関わっていた不正行為をめぐる米紙ニューヨーク・ポスト(New York Post)の暴露記事を閲覧不可とした決定について、「あなた方はまるで究極の編集長のようだ」と非難。「企業が政府同様の力を持つ場合、(また)伝統的メディアをはるかに超える力を持つ場合には何らかの措置が必要だ」と述べ、コンテンツの削除、選別、掲載継続の決定に関するSNS大手の責任を明確にするために新たな規制が必要だと警告した。

 さらにグラム氏は、他者が投稿したコンテンツに関してオンラインサービス企業に免責を与えている「通信品位法230条」の改正が必要だとも述べた。

 同法230条の改正については、両社がドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領による「悪質なうその拡散」を野放しにしたと非難した民主党のロバート・メネンデス(Robert Menendez)上院議員も、改正を求めた。

 ザッカーバーグ、ドーシー両CEOは230条改正を受け入れる姿勢を示しつつ、SNSを「出版社」や伝統的なメディアと同列に扱うべきではないとくぎを刺した。

 さらにドーシー氏は「われわれは変化について極めて慎重に考慮すべきだ。一つの方向に進めば、新規参入企業を排除してしまう可能性があるからだ」「別の方向へ進めば、それに対処するために量的なリソースが必要になるかもしれず、さらに別の方向へ進めば、さまざまな声をいっそう遮断することにもなりかねない……われわれは(通信品位法)230条に基づいて構築できると信じている」と述べた。

■選別を正当化

 ただしザッカーバーグ、ドーシー両CEOは、大統領選期間中の有害な誤情報を抑制するための自社の取り組みを正当化した。

 ザッカーバーグ氏は「わが社では、ミリシア(極右武装勢力)や陰謀論ネットワークなどが選挙後にわれわれのプラットフォームを利用し、暴力や暴動を組織することを防ぐために、彼らに対する措置を強化した」と述べた。同氏によるとフェイスブックでは、投票状況に関する虚偽の主張を削除した他、独立系のファクトチェック機関から注意を受けた1億5000万件以上のコンテンツに警告を表示した。

 トランプ氏がツイッター上で、大統領選での敗北を認めず投票プロセスの正当性を疑問視する投稿を続ける中、フェイスブックとツイッターは、トランプ氏のツイートの多くに閲覧制限をかけ始めている。

 両社は今も大統領選をめぐり、有害な誤情報だと大方がみなす投稿の削除を求める圧力にさらされると同時に、特定の政治的見解を抑圧しているという批判とも闘っている。(c)AFP/Rob Lever