【11月18日 Xinhua News】中国で1日から11日にかけて開催された年間最大規模のネット通販セール「双11(ダブルイレブン)」で、人工知能(AI)を搭載したバーチャル販売員がライブコマース(ネットの生中継による商品販売)を行い、人に代わって商品を販売した。AI販売員は「心」を持ち、声や感情、動作も人のようで、会話だけでなく、踊ったり、歌ったりと大勢の消費者とリアルタイムで交流し、商品を紹介した。

 ライブコマースは、中国の電子商取引(EC)などの分野で既に必要不可欠な販売方式となっているが、販売員などの人件費のほか、配信できる時間帯などの制限がある。AIを備えたバーチャル販売員は今後、優れた代替手段になるとみられている。

 「ダブル11」の期間中、オランダの電機大手フィリップスや仏化粧品大手ロレアル、英・オランダ系の日用品・食品大手ユニリーバ、仏化粧品大手ロクシタンなどの世界的ブランド社が、AI販売員を起用してライブコマースを行った。フィリップスは中核店舗6店にバーチャル販売員を置き、人とバーチャルによる組み合わせで24時間連続のライブ配信を試み、サービス対応や販売時間を延長した。

 フィリップスでECプラットフォーム「天猫(Tモール、Tmall)」を担当する向静(Xiang Jing)氏は「AI販売員の起用後、ライブ配信番組の視聴者数の記録が次々と塗り替えられ、最大で約8万人に達した」と語った。

 AI販売員を開発した中国EC大手アリババグループ(Alibaba Group)の技術研究機関「DAMOアカデミー(達摩院)」によると、今回の販売員には同社が持つ最先端の認知知能と知覚知能技術が融合されている。ライブ配信の状況に応じて表情や動作、配信内容をリアルタイムで変えることができるという。

 同アカデミー・知能サービスチームの責任者、趙昆(Zhao Kun)氏は「バーチャル販売員の背後には複雑なアルゴリズムやエンジニアリングシステムがある。視覚や音声、自然言語処理などマルチモーダル融合アルゴリズムをカバーしており、機械が人と自然なコミュニケーションを行う基礎となっている。将来的には、こうした人と機械のインタラクション技術を金融や教育、医療などに応用していきたい」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News