【11月17日 AFP】世界のたばこ産業が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行のさなかにも各国政府に対して精力的にロビー活動を行い、市場拡大や業界への規制緩和を図っていると、世界保健機関(WHO)と提携する監視機関が17日、報告した。

 57か国の政府の大手たばこ企業に対する規制の評価をランキングにした結果、日本が最下位で、これにインドネシアが続いた。ワースト10には中国、レバノン、ルーマニアなどがランクインした。

 米国の規制も低評価で、マレーシア、スペイン、ドイツ、インドも大手たばこ企業と協調的すぎると評価された。

 報告書はまた、「たばこ業界は慈善活動を公にすることで問題解決に貢献するというイメージ回復を図ると同時に、事業を制限されないよう各国政府にロビー活動を行っていた」と指摘。新型コロナウイルスが流行する中、たばこ企業は個人用防護具(PPE)や換気装置、手指消毒剤を世界各国で配布している。

 たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(FCTC)のアドリアナ・ブランコ・マルキソ(Adriana Blanco Marquizo)事務局長は、「たばこ業界が、人道危機の中で欺瞞(ぎまん)と資本化を行ってきた過去は十分に立証されており、新型コロナウイルスの世界的な大流行も、悪化する業界イメージの向上のために利用している」と述べた。

 複数の国で厳格なたばこ規制が無効になったり、緩和されたりしており、例えば、たばこ米大手フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)は「12か国で自社の加熱式たばこ製品の宣伝と販売のためのロビー活動」を行い、その結果として規制解除や減税、たばこ規制に関する政府主導の審議での発言権の獲得を実現している。

 日本、フランス、ドイツにおいては、加熱式たばこの方が、紙巻きたばこよりも低い割合で税が課せられている。

 喫煙によるがんや肺疾患などで毎年約800万人が亡くなっており、中国だけでその死者数は毎年100万人に上っている。

 報告書はフランス、英国、タイに拠点を置く非営利団体が作成。たばこ産業が発展途上国を中心に世界でどのようなマーケティングを行っているか調査することを目的に、マイケル・ブルームバーグ(Michael Bloomberg)前ニューヨーク市長が3年間で研究助成金2000万ドル(約20億9200万円)を投じていた。(c)AFP/Marlowe HOOD