【11月17日 AFP】米上院は16日、スポーツの国際大会においてドーピングを画策した者を訴追する権限を認める「ロドチェンコフ反ドーピング法(Rodchenkov Anti-Doping Act)」案を正式に可決した。

【図解】ロシアのドーピング問題、これまでの経緯

 ロシア・モスクワの反ドーピング検査所の元所長で、2016年に同国のドーピングスキャンダルを告発したグリゴリー・ロドチェンコフ(Grigory Rodchenkov)氏の名前を取った法案は、すでに2019年に下院を通過していた。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が署名して法律が制定されれば、米国では自国選手が関与したドーピングの黒幕を訴追することが可能となり、有罪が確定すれば最大で100万ドル(約1億500万円)の罰金や禁錮10年の刑罰が科される。

 この法律は世界反ドーピング機関(WADA)の処分対象となる選手本人よりも、コーチや代理人をはじめディーラーやマネジャー、さらには競技団体および政府関係者など周囲の人間を取り締まることを目的としている。

 米国反ドーピング機関(USADA)のトラビス・タイガート(Travis Tygart)最高経営責任者(CEO)は、「世界中でクリーンなスポーツを目指す闘いにとって記念すべき日だ。この案が法律になり、クリーンなアスリートにとって競技が良い方向に変わることを楽しみにしている」と述べた。

 ロドチェンコフ氏は、ロシアが国家ぐるみのドーピングを画策して2014年ソチ冬季五輪などの大会で行っていた不正の隠蔽(いんぺい)に深く関わっていた。2016年に自身が関与したスキャンダルを告発した後、現在は米国で身を潜めながら暮らしている。(c)AFP