【11月25日 AFP】米国の次期副大統領だけでなく、次期大統領もインドに親戚がいるかもしれない──ジョー・バイデン(Joe Biden)氏(78)とのつながり探しにインドが沸いている。

 今回の米大統領選はインドでも注目の的となってきた。バイデン氏から副大統領候補に指名されたカマラ・ハリス(Kamala Harris)氏が、インド・タミルナド(Tamil Nadu)州出身の移民の母を持つためだ。

 一方で、アイルランドにルーツを持つことで知られるバイデン氏への注目度は、インドでは低かった。だが、バイデン氏が米副大統領だった2013年、ムンバイを訪れた際にインドとのつながりについて語っていたことが取り上げられると、途端にタミルナドの州都チェンナイ(Chennai)に興奮がもたらされた。

■東インド会社の船長

 バイデン氏は当時の演説で、1972年に上院議員に初当選した後、インドの「バイデン氏」からつながりを示唆する手紙を受け取ったと述べている。その手紙には、2人に共通する数世代前の祖先が「1700年代に東インド貿易会社で働いていた」と書かれていた。

 米大統領選におけるバイデン氏の当確以来、1789年生まれで19世紀に活躍した英国の船長、クリストファー・バイデン(Christopher Biden)の銘板があるチェンナイのセントジョージ大聖堂(St George's Cathedral)は突如、地元観光客に人気の自撮りスポットとなっている。

 マドラス(Madras)司教のJ・ジョージ・スティーブン(J. George Stephen)師はAFPに「われわれは2人のバイデン氏──ウィリアム・バイデン (William Biden)と クリストファー・バイデンについての記録を見つけました。2人は兄弟で、19世紀の東インド会社(East India Company)の商船の船長でした」と語った。「ウィリアム・バイデンは若くして亡くなりましたが、クリストファー・バイデンは数隻の船長を務め、最終的にはマドラス(現チェンナイ)に定住しました」

 ただし今のところ、マドラスに暮らしたバイデン兄弟とバイデン氏の血縁関係を証明するものはない。

■ムンバイのバイデン家

 クリストファー・バイデン船長の子孫かもしれない家族が、インド西部のムンバイとマハラシュトラ(Maharashtra)州ナグプール(Nagpur)にいる。

 インドのメディアは、マハラシュトラ州のバイデン家のすでに亡くなった祖父レスリー(Leslie Biden)さんが、バイデン氏への手紙の送り主ではないかと騒いでいる。

 またムンバイのバイデン家の一員は、バイデン氏が米大統領選で勝利宣言を行って以来、電話に出るのに「疲れ果てた」と語る。

 ロウィーナ・バイデン(Rowena Biden)さんはAFPに対し、「私たちはジョー・バイデン氏に米大統領という新たな役割に全力を尽くしてほしいと願っていますが、どんなつながりも築こうとは思っていません」「私たちは同じ名字を持つ、それだけです」と語った。

 バイデン氏と縁戚に当たる可能性が最初に報じられると「私たちは自宅まで突き止められ、家族全員の重荷になった」とロウィーナさん。過度の脚光は、「バイデン氏の勝利の重要性と私たちのプライバシーに影を落とした」と語った。(c)AFP/Arun Sankar in Chennai and Vishal Manve in Mumbai