【11月15日 AFP】テニスの男子ダブルスで活躍するニュージーランドのマイケル・ビーナス(Michael Venus)が、英ロンドンで開幕するATPファイナルズ(ATP Finals 2020)の後、母国へすぐに戻れない可能性が生じている。ビーナスは、新型コロナウイルス対策で導入されている母国の入国制限への不満を口にしている。

 ビーナスはジョン・ピアーズ(John Peers、オーストラリア)とのペアで、世界の上位8組による権威あるシーズン最終戦に臨むが、他の選手が次週の閉幕後に帰国できるのに対し、しばらくスーツケース生活を続けなければならない可能性が高い。

 ニュージーランドは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)を受けて厳しい規則を定めており、帰国時にはホテルでの2週間の隔離を強いられるため、ビーナスは家族のもとへ戻る暇もなく、ほぼそのまま新シーズンの開幕を迎えなければならない。

 その中でビーナスは、辞退も検討した上で出場を決め、ニュージーランド政府に対して事情を考慮してほしいと訴えたが、政府は国外のクリケット代表に対して認めたような例外を国内の選手には認めず、ビーナスは現実と向き合わなければならなくなっている。

 ニュージーランドはここまで感染者数を少なく抑え、危機管理能力を各国から評価されているが、ビーナスは英PA通信(Press Association)に対して「一度中へ入ってしまえば、自由に移動できるし、何の心配もなくて最高だが、猶予期間や帰宅のシステムの運用方法には見落としがあると思うし、ナンセンスだ」と話した。

「あっちでやっているスポーツもあって、クリケットの西インド諸島代表を迎え入れてプレーさせている。つまり他の国の人間は入ってもよいということになっている。それなのに国民が自分の国へ戻れないなんてすごく不公平だ」

 現在33歳で、2歳の娘がいるビーナスは、大会後はオーストラリアへ移動し、そちらで家族と合流できないかと考えている。(c)AFP