【11月15日 AFP】イランは14日、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)のナンバー2の幹部が8月にイランの首都テヘランでイスラエルの工作員に殺害されたとする米紙報道を「捏造(ねつぞう)された情報」として一蹴し、国内にイスラム教スンニ派(Sunni)の過激派がいることを否定した。

【写真】アブドゥッラー・アフメド・アブドゥッラー被告

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は、1998年にタンザニアとケニアで起きた米大使館爆破事件で起訴されているアブドゥッラー・アフメド・アブドゥッラー(Abdullah Ahmed Abdullah)被告が、8月7日にテヘランでオートバイに乗ったイスラエルの工作員にひそかに銃撃され、死亡したと伝えた。

 同紙が情報当局の関係者らの発言を引用したところによると、アブドゥッラー被告の娘で、アルカイダ創始者ウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者の息子、ハムザ(Hamza bin Laden)容疑者の妻であるミリアムさんも殺された。工作員は米国の指示で、米大使館爆破事件が起きた8月7日に殺害を実行したとされる。

 イラン外務省の報道官は声明で、敵対関係にある米国とイスラエルが「捏造された情報をメディアにリークすることで、(アルカイダなど)域内のテロ集団の犯罪行為の責任を転嫁し、イランをこうした集団と結びつけようとしている」と述べた。また、米国と「域内の同盟国」の「誤った政策」がアルカイダを作り出したと非難し、米メディアに「米国とシオニストの当局によるハリウッド(Hollywood)映画のようなシナリオのわなにはまらないよう」警告した。

 米情報当局の関係者がニューヨーク・タイムズに語ったところによると、アブドゥッラー被告は2003年からイランに「拘束」されていたものの、少なくとも2015年からテヘラン郊外の高級住宅地で自由に生活していた。8月7日に白いルノー(Renault)のセダン「L90」に娘を乗せて自宅付近を運転していたところ、バイクに乗った男2人が被告と娘を狙い、消音装置付きの拳銃を5回発砲したという。

 アブドゥッラー被告が殺害されたとされるのと同じ時期に、国営イラン通信(IRNA)は、バイクに乗った人物が歩道からレバノンの歴史教師ハビブ・ダウード(Habib Dawoud)氏(58)と娘のマリヤムさん(27)を撃って逃亡し、警察が捜査しているという、ニューヨーク・タイムズの報道と似た事件について報じていたが、続報はない。(c)AFP