【11月14日 AFP】アルメニアの首都エレバンで13日、ニコル・パシニャン(Nikol Pashinyan)首相の辞任を求める集会が再び行われ、数千人がデモに参加した。パシニャン氏がアゼルバイジャンと結んだ停戦合意をめぐっては連日デモが行われており、この日で4日目に突入した。

 パシニャン氏は10日、ロシア政府の仲介でアゼルバイジャンとの完全停戦に合意したと発表。死者1400人以上、避難民数万人を出した係争地ナゴルノカラバフ(Nagorno-Karabakh)をめぐる約1か月半の激しい戦闘に、終止符が打たれた。

 アルメニアは、係争地の一部だけでなく、同国の分離派が1990年代から支配下に置いている他の領土についても、アゼルバイジャンに割譲することで合意した。

 この決定を受け、アルメニア側では怒りが沸騰。政府庁舎にデモ隊が突入する騒ぎとなり、以降、エレバンではパシニャン氏の辞任を要求する抗議デモが連日行われている。

 13日のデモでは、数千人がエレバン中心部の広場に集結。多くが「裏切り者ニコル」と書かれたプラカードを掲げた。

 ナゴルノカラバフで負傷したという車椅子に乗った参加者は、拡声器で集まった人々に向け、「われわれの国土を譲るなんて、お前は一体何者だ? お前にこんなことをする権利はない!」「われわれの兵士たちは、英雄のように戦っていた」と叫んだ。

 約30年前にアゼルバイジャンからの独立を宣言した係争地ナゴルノカラバフは、国際的にもアルメニアからも国家として認められていない。9月末にアゼルバイジャンとアルメニアの間で軍事衝突が勃発し、フランスやロシア、米国が停戦に向け仲介してきたものの、紛争は長引いた。(c)AFP