【11月14日 AFP】新型コロナウイルスのワクチン開発の成果を各国が発表している中、世界保健機関(WHO)の専門部門のトップがAFPのインタビューに応じ、ワクチンに対する不信感によって、新型ウイルス対策として最も効果的な治療法も無用なものになりかねないと警鐘を鳴らし、目標は、2021年末までに各国人口の20%が免疫を獲得することだと話した。

 米製薬大手ファイザー(Pfizer)と独ビオンテック(BioNTech)は9日、共同開発中のコロナワクチンについて、現在実施中の臨床試験の最終段階で90%の有効性が証明されたと発表。WHOの予防接種部門を統括するケイト・オブライエン(Kate O'Brien)氏は、この中間結果を「非常に意義がある」と評価した。

 一方でオブライエン氏は、誤情報や不信感によって科学の進歩が社会で受け入れられず、ワクチン接種をちゅうちょする兆候が強まっていることに深い懸念を示した。

「ワクチンが冷凍庫や冷蔵庫、棚に置かれたままで使用されなければ、新型ウイルス感染症の沈静化にはつながらない」と同氏は指摘。

「ワクチンの評価にはWHOが関与しており、ワクチンの安全性や有効性に関して私たちは妥協するつもりはない。その事実への(人々の)信頼」を高めるため、さらに必要な措置を講じなければならないと述べた。

 同氏は、ファイザーとビオンテックが共同開発しているワクチンやその他のワクチンについて、予防効果の持続期間など、まだ明らかになっていない問題がいくつもあると認めた。臨床試験中のワクチンが実際に無症状感染やウイルスの伝染を防げるかどうかも不明のままだ。

 いくつかの問題は残っているが、WHOは、1種類以上のワクチンが間もなく承認され、直ちに量産および大規模な配布が開始されるとの見通しを示している。

 認可ワクチンに対する大量の需要を見込んで、WHOはワクチンを確実に公正に分配する国際プログラム「COVAXファシリティ(COVAX Global Vaccine Facility)」の創設を支援した。

 だが、多大な努力が行われているにもかかわらず、すべての人に十分な量のワクチンを確保するにはしばらくかかるとみられており、WHOは配布の優先順位の付け方についての指針作りに着手している。

 オブライエン氏によると、「目標は、2021年末までに各国の人口の20%が免疫を獲得できるようにすること」だ。

 他方で、承認されたワクチンの製造から輸送経路の確保、一部のワクチンに必要な超低温での保存に至るまで、数十億人にワクチンを配布する際の物流面の課題も山積している。(c)AFP/Nina LARSON