【11月14日 AFP】米当局は13日、終身刑で服役中に祖母の葬儀に参列するため仮出所を許された際に逃亡し、米連邦捜査局(FBI)から50年近く指名手配されていた男を逮捕したと明らかにした。

 レナード・モーゼス(Leonard Moses)受刑者は、1968年にマーティン・ルーサー・キング(Martin Luther King Jr.)牧師が暗殺され暴動が起きた際、ペンシルベニア州ピッツバーグ(Pittsburgh)で数人の仲間と共に火炎瓶を家屋に投げ付けて放火し、メアリー・アンプロ(Mary Amplo)さんに大やけどを負わせて死なせた罪で終身刑に服していた。

 1971年、モーゼス受刑者は祖母の葬儀に参列するため仮出所を認められ、その機に乗じて逃走。名前をポール・ディクソン(Paul Dickson)と変え、少なくとも1999年からミシガン州で巡回薬剤師として働いていたと警察は述べている。

 FBIは2016年に捜査を再開し、モーゼス受刑者の家族を改めて事情聴取したほか、逮捕につながる情報に報奨金を支払うと発表し、専用のホットラインも開設した。

 ピッツバーグで記者会見したFBI捜査官のマイケル・クリスマン(Michael Christman)氏は、2000件以上の情報が寄せられたものの逮捕にはつながらなかったことを明らかにした。しかし今年初め、別の事件でモーゼス受刑者の身柄を拘束し、取り調べた。

 当局の記録によると、1949年生まれのポール・ディクソンという人物が今年4月、ミシガン州で詐欺容疑および規制薬物に関して違法な処方箋を書いた容疑で逮捕されていた。

 捜査の過程で採取した指紋を捜査機関のデータベースで調べたところ、FBIが保有するモーゼス受刑者に関する記録と一致することが判明した。

 モーゼス受刑者は今月12日、ミシガン州グランドブラン(Grand Blanc)の自宅でおとなしく逮捕され、ペンシルベニア州に移送されることになっている。(c)AFP