【11月14日 AFP】フランス・パリでイスラム過激派がコンサートホールなどを襲撃し、130人が死亡した2015年の連続襲撃事件から13日で5年となった。同国では心の傷がまだ癒えていない上、新たな襲撃事件も相次いでいる。

 2015年11月13日夜、イスラム過激派の自爆犯や銃撃犯らは、スポーツスタジアムやバー、レストラン、コンサートホールなどを襲撃し、130人が死亡、350人が負傷した。平時に起きたものとしては最悪の残虐行為とされるこの事件をめぐり、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出した。

 エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領はソーシャルメディア上に投稿したメッセージで、「私たちの元を去った人々のことを、決して忘れないようにしよう」と語った。

 ジャン・カステックス(Jean Castex)首相とパリのアンヌ・イダルゴ(Anne Hidalgo)市長は13日、スタジアム「スタッド・ド・フランス(Stade de France)」やカフェ・バー「ル・カリヨン(Le Carillon)」、コンサートホール「バタクラン(Bataclan)」など、襲撃のあった現場で執り行われた追悼式典に出席。式は新型コロナウイルス流行を受け規模を縮小して行われた。

 バタクランでの襲撃を生き延び、その体験を克服するため「私たちの生活のある一日」という本を書いたダビッド・フリッツ・ゲッピンガー(David Fritz Goeppinger)さんはAFPに対し、「5年たったが11月13日という日付とそれにまつわるあらゆるものが今でもつらい」 「心的外傷後ストレスはまだ残っている」と語った。

 フランスでは治安上の脅威がいまも続き、この襲撃の恐怖が残した傷はまだ癒えないままだ。同国では、9月に風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)の元本社前で包丁による襲撃が、10月には中学校教師が首を切断され死亡する事件や、ニース(Nice)の教会で刃物による襲撃事件が起きたばかり。

 新たな攻撃を受けフランスでは、イスラム教徒の少数派に対する同国の対応をめぐり、熱烈で時に苦痛を伴う討論が再び巻き起こっている。マクロン大統領は、イスラム過激派を取り締まるよう呼び掛けている。

 2015年以降、治安当局が把握していない人々による残虐行為が増えている。こうした人々はイスラム過激派のプロパガンダに刺激を受け、事前の準備の必要がほとんどない刃物などの武器で襲撃している。(c)AFP/Stuart WILLIAMS