【11月14日 AFP】モロッコが領有権を主張する西サハラ(Western Sahara)の独立派武装組織「ポリサリオ戦線(Polisario Front)」は13日、モロッコが隣国モーリタニアにつながる道路を再開させる軍事作戦を開始したことを受け、西サハラで30年間続いてきた停戦の終了を宣言した。

 西サハラでは1991年、国連(UN)の仲介で成立した停戦が発効し、以来、国連の平和維持部隊「西サハラ住民投票監視団(MINURSO)」が緩衝地帯を監視してきた。

 モロッコ政府は、西サハラで同国が実効支配する地域とモーリタニアの間を走るトラックが交通を妨害されているとして、軍を投入し「封鎖に終止符を打つ」と発表。「民間、商業目的の自由な交通循環を取り戻す」と宣言した。

 今月9日に停戦崩壊の危機を警告していたポリサリオ戦線は、モロッコの軍事作戦開始により停戦は終わったと表明。同戦線が樹立を宣言したサハラ・アラブ民主共和国(SADR)の外相を務めるモハメド・サレム・ウルド・サレク(Mohamed Salem Ould Salek)氏は「戦争が始まった。モロッコ側が停戦を破棄した」とAFPに語り、モロッコ側の動きを「侵略」と非難した上で、「西サハラ軍は合法的な自衛に当たっており、モロッコ軍に対応している」と述べた。

 一方のモロッコ外務省は、モーリタニア国境の無人地帯でポリサリオ戦線の戦闘員らが「略奪行為を働き、交通を妨害し、MINURSOの軍事監視団に継続的に嫌がらせをしている」ことから、軍事行動を強いられたと主張。モロッコのナッセール・ブリタ(Nasser Bourita)外務・アフリカ協力・在外モロッコ人相は、今回の行動は慎重な検討を経た対応であり、民間人に影響は出ていないと強調した。

 緊張激化を受け、モーリタニアのほか、ポリサリオ戦線を支持するアルジェリアも双方に自制を訴えた。(c)AFP/Sophie PONS