【11月13日 AFP】中国・北京近郊の小村を約20年前、近く米国で最大の権力を持つことになる外国人が訪れていた──ジョー・バイデン(Joe Biden)氏だ。

 2001年8月、当時上院外交委員長を務めていたバイデン氏は中国を公式訪問した際、燕子口(Yanzikou)村に立ち寄り、住民に声を掛け、子どもたちにアイスクリームを買い与えていた。

 AFPは今週、当時撮影された資料写真を持参して同村を訪れた。当時21歳だったというタン・シャオジュン(Tang Shaojun)さんは、自宅で生後2か月の息子の世話をしていたところ、外国の政府関係者らの訪問を受けた。その頃の中国の地方部では珍しい光景だ。

 タンさんはAFPに対し、「私たちのところに来ようと選んだのは、わが家が村で最も貧しく、みすぼらしかったからだと思う」と語った。タンさんの家はその後改築され、さまざまな植物とマホガニー材の家具で彩られている。

 バイデン氏はタンさんの息子を抱き上げ、キスをして立ち去った。後になって、台所の包丁の下に餞別(せんべつ)として200元(現レートで約3200円)が残されているのを見つけたという。

「将来また来るよと言っていた」とタンさん。タンさんの夫のリウ・シャンカイ(Liu Changkai)さんは「その時私は思った、外国人は偉大だな、中国人を差別しないのだなと」と振り返った。

 夫妻は今回AFPの取材を受けるまで、あの時村を訪れた人物が、今回の米大統領選で当選を確実にしたバイデン氏だったとは認識していなかったという。

 それから20年。中国の急速な経済成長は、この国の大部分に目覚ましい変化をもたらした。

 村民の大半が、当時のバイデン氏訪問をぼんやりとしか覚えていないが、AFPの資料写真には、笑顔の同氏の周りに子どもや大人たちが集まっている様子が捉えられている。

 当時9歳で、バイデン氏と握手をする様子が写真に収められたガオ・シャン(Gao Shan)さん(29)は、君がいつか中国の指導者になるかもしれないなと、バイデン氏が冗談を言ったのを覚えているという。

「あの時、私の幸運を祈ってくれたあの人が、今や次期大統領になるなんて──すごいことだ」とガオさん。「今度は私が彼の幸運を祈っている」

 リウさんは、バイデン氏が村を訪れたことを「とても誇らしい」と感じており、「あちらが中国と問題を起こさないなら、いつ再訪してもらっても構わない」と語った。(c)AFP/Laurie CHEN