【11月20日 AFP】モロッコ南西部の農業が盛んなアガディール(Agadir)の平野では、畑が見渡す限り干からびていた。干ばつにより、農地に供給されていた貴重な水が家庭に回されているためだ。

 農家のアハメド・ドリウチ(Ahmed Driouch)さんは、ため息をつきながらオレンジの木を指した。「樹齢は20年近くですが、枯れています。水がもうないんです」と語った。枯れた木々が干ばつの悪化を物語っている。

 同地域は3年にわたって干ばつに見舞われており、当局は苦渋の選択に迫られ、やむなく貯水池の水を農地から住宅地へと回すことで100万人近い住民の飲料水を確保してきた。

 ドリウチさんによると、当局はアガディールでゴルフコースとホテルの庭への散水に飲料水を使用することを禁止し、代わりに浄化処理した廃水の使用を奨励している。

■井戸水には塩分が

 アガディールから約60キロ先にあるアブデルムーメン(Abdelmoumen)貯水池は、ほとんど干上がっている。普段は地元民が水浴びをする場所として人気だが、2017年以降、この貯水池から農地に水は供給されていない。

 農家に残された選択肢は、めったに降らない雨を待つか、地下水面(地下水の上面)を使い果たす他にほとんどない。地下水面の水資源は近年、乱開発が進んでいる。

 同じく農家のアブドルラハマンさんは、井戸からくみ上げた水は「塩気がある」ため、作物に適さないと語った。

 当局は、アガディールでの海水淡水化(脱塩)施設の操業計画に期待を寄せている。来年4月の開設予定で、飲料水不足を解消し、一部の農地でかんがいの再開が見込まれている。(c)AFP/Ismail Bellaouali