米、新型コロナワクチン輸送体制の準備と課題
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【11月13日 AFP】歴史上最も大掛かりなワクチン作戦の一つは米国から始まるかもしれない──米国は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン最大6億回分を、今後数か月以内に配布・投与する計画だ。
大規模なワクチン作戦自体は、これまでにもはしかやインフルエンザの例があり新しくはない。だが、新型コロナウイルスの撲滅をこれまでとは明らかに違う難題にしている要因が3つある。膨大な人数に短期間でワクチン接種を行うこと、大半のワクチンで接種が2回必要なこと、一部のワクチンは極めて低温で保管する必要があることだ。
米製薬大手ファイザー(Pfizer)が独ビオンテック(BioNTech)と共同開発し、米国内初の新型コロナワクチンとして認可取得を目指しているワクチンは、マイナス70度での保管が必要だ。
さらに米ミシガン州カラマズー(Kalamazoo)にある同社最大規模の製造工場から出荷するためには、輸送用のコンテナ、トラック、航空機を時計仕掛けのように正確に連係させる必要がある。
保冷コンテナ1個につき、ワクチンが入った瓶975本がドライアイスとともに収納される。1本の瓶のワクチンは5回分で、コンテナ1個当たり計4875回分となる。
ファイザーによると毎日トラック6台分のワクチンが、米フェデックス(FedEx)、同ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)、独DHLなどの航空貨物輸送業者に出荷され、米国内は1~2日以内、世界各地には3日以内に配送される。世界各地へは1日平均20機の貨物機が輸送を担う見通しだ。
■日本は1億2000万回分発注
米バイオ製薬大手モデルナ(Moderna)も、ワクチンの製造を進めている。このワクチンは冷凍庫の通常温度であるマイナス20度で保管できる。米政府は、モデルナのワクチンを各州および海外領土に無償で配布する準備を進めている。
米政府の目標は、最も深刻なリスクがある人々には12月末までに、医療従事者には来年1月末までにワクチンを提供し、4月初めまでに全国民に行き渡らせることだ。
ファイザーは今年中にワクチン5000万回分、2021年には13億回分の製造を見込んでいる。米国は12月末までに配布するための2000万~3000万回分を含む計1億回分をすでに発注している。一方、欧州連合(EU)は2億回分、日本は1億2000万回分、英国は3000万回分、カナダは2000万回分をそれぞれ発注している。(c)AFP/Ivan Couronne