■選挙人が造反する可能性は?

 トランプ氏が選挙の健全性を繰り返し疑問視したことで、選挙人団が一般投票の結果を尊重しない可能性についての懸念が生まれている。

 考えらえるシナリオの一つに、州知事と州議会の党が異なる州で、知事と議会がそれぞれ独自の選挙人団を認定する場合がある。ウィスコンシン大学マディソン校(University of Wisconsin-Madison)の政治学者バリー・バーデン(Barry Burden)氏は「その可能性は非常に低いが、議論されていることは気掛かりだ」と語る。

 このシナリオは、ミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシンなどの激戦州で起きる可能性がある。これらの州では、米メディアがバイデン氏勝利を伝えたが、州知事は民主党に所属する一方、州議会は共和党が過半数を握っている。

 対立する2つの選挙人団がそれぞれ州知事と州議会により認定された場合、争いの決着は連邦議会に持ち込まれる。連邦議会は来年1月6日の会議で選挙人の票をまとめ、次期大統領を正式に任命する。ただ、バイデン氏の勝利に疑念を生じさせるためには、対立する選挙人票が複数の主要州から提出される必要があり、AFPが取材した専門家はいずれも、その可能性はないとの見解を示している。

■トランプ氏が最後まで敗北を認めなかったら?

 バーデン氏は「トランプ氏が最後まで敗北を受け入れない可能性は高い」と言明。「彼は2016年の選挙で公正に勝利したにもかかわらず、自分に対する不正があったとして不平を言い続けている」と指摘した。

 トランプ氏が敗北を認めなかったとしてもバイデン氏が来年1月20日に大統領へと就任することに変わりはないが、バイデン氏の勝利に影を落とすことになる。バーデン氏は「疑念を生むだけでも十分かもしれない。トランプ陣営が望んでいるのはそれだけなのかもしれない」と語った。

 超党派政策センターのフォーティア氏は「政権移行が平和的に行われることを強く信じている」とした上で、「長期的な悪影響があるかどうかは分からない」と言明。「友好的移行があろうとなかろうと、政権は始まるだろう」と語った。(c)AFP/Catherine TRIOMPHE