「われわれの山を返して」 大理石の丘めぐる闘い ミャンマー
このニュースをシェア
【11月22日 AFP】顔は白い粉じんにまみれ、手にはのみ。ミャンマーのマンダレー(Mandalay)北部サギィン(Sagyin)村に暮らす大理石の彫刻師たちは、大企業が貴重な白大理石を採掘することで、何世代にもわたり生活の糧を恵みつづけてくれた地元の丘が消えつつあると語った。
コー・レイ(Ko Lay)さん(48)は、妻と4人の子どもたちと共に、動物彫刻の第一人者として、独自の市場を切り開いてきた。一家が彫ったゾウ、ライオン、トラの像は1個360ドル(約3800円)ほどを稼ぎ出す。
コー・レイさんはAFPに「村の全てが丘に頼っているのに、もうすぐ消えてしまうのではないかと心配している」と訴えた。彼の全身は粉じんで真っ白だ。
他の住民と同じく、コー・レイさんは、軍事政権時代に広大な土地に対する数十年間のライセンスを付与された、えたいの知れない中国企業や軍部とつながりのある企業を非難している。
コー・レイさんは「われわれの山を返してほしい」と言う。
■丘が破壊されている
サギィン村に暮らす約2000世帯のうち、80%ほどは大理石関連の仕事についている。しかし彼らは、自分たちが締め出されつつあることを恐れている。
ソー・ウィン(Soe Win)さん(55)は、これらの大企業が「なくなるまで丘を破壊する」だろうと言い、「少なくとも丘の斜面を分けてほしい。だが、地元住民にはほとんどリース権が与えられていない」と嘆く。
資源・環境保護省のエウン・ソー・イン(Eunt Soe Yin)氏によると、この数か月間で数十区画の土地が村人に割り当てられたという。
だが、職人のニュン・ワイ(Nyunt Wai)さん(61)はこのリースの話を聞いたことがなく、現地の人々がすぐに割り当てを受けられるという話には懐疑的だ。
ニュン・ワイさんは大理石の仏像の長いまつ毛を彫る繊細な作業の手を休め、大企業が材料価格を釣り上げ、地元の人々を締め出している様子を説明した。
「あれらの丘には村の血が通っている。(中略)だが、これからの世代のことが心配だ」 (c)AFP