【11月12日 AFP】ブラジル国家衛生監督庁(ANVISA)は11日、中国の製薬会社シノバック・バイオテック(Sinovac Biotech)が開発した新型コロナウイルスワクチンの第3相臨床試験(治験)の再開を認めた。同庁は9日、治験の中断を発表していたが、政治的な判断との批判が出ていた。

 ANVISAは、ワクチン「CoronaVac」の治験最終段階で発生した「有害事象」の詳細について報告を受けたと説明。「ワクチン(治験)の再開を認めるのに十分な情報」を得たと発表した。治験はボランティアの参加者の死亡により一時中断された。ANVISAの再開発表に先立ち、保健当局は治験参加者の死亡について、ワクチンとの関連はなかったと発表していた。警察は自殺とみて捜査している。

 CoronaVacはブラジルで政争の具になっている。CoronaVacを「あの、よその国から」のワクチンと批判していたジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領は、ANVISAの治験中断の決定を勝利としていた。CoronaVacの最大の支持者にはボルソナロ氏と対立するサンパウロ(Sao Paulo)州のジョアン・ドリア(Joao Doria)州知事がおり、CoronaVacを「ジョアン・ドリアの中国ワクチン」と呼び激しく非難し、連邦政府の購入を阻止したボルソナロ氏は、治験中断の決定を自身の主張が正しいことを裏付けるものだと述べていた。

 ボルソナロ氏は、英国のオックスフォード大学(University of Oxford)と英製薬大手アストラゼネカ(AstraZeneca)が共同開発するワクチンを支持している。(c)AFP