【11月14日 AFP】イエメンのセイユーン(Seiyun)には、世界最大規模を誇る土のれんが造りの宮殿がある。この宮殿が今、長年にわたる放置と最近の豪雨によって倒壊の危機に直面している。

 ハドラマウト(Hadramawt)県中部にあるセイユーンの宮殿に生じた損傷は、イランが支援する反政府武装勢力フーシ派(Huthi)と政府軍の衝突が起きた2014年以降の、同国における負のスパイラルを反映しているかのようだ。

 四隅に小塔のある巨大な砂の城を想起させるこの白い宮殿は、現在、博物館として使われている。

 こうした重要な文化財を保全するための資金確保は困難を極めている。その結果、宮殿の荒廃が進み、ここ数か月続く洪水の被害を受けやすくなっている。

 歴史的建造物の修復を専門とするアブドラ・バルマダ(Abdullah Barmada)氏は、宮殿を保全するための国際支援を求めている。

「危険な状態だ。すぐに修復しなければ倒壊の恐れもある」とバルマダ氏は指摘し、「建物の基礎や壁、屋根に損傷が見られる。修繕と定期的な維持管理が必要」と説明した。

 多くの命を奪った洪水は、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)にも損傷を与えた。古代都市シバーム(Shibam)の「砂漠の摩天楼」と称される高層建造物もその一つだ。

 第3の都市タイズ(Taez)では、改修を終えたばかりの国立博物館への被害が大きく、オスマン(Ottoman)帝国時代の建物の一部が崩壊した。

 映像は10月9日撮影。(c)AFP/Mohammed Bahufain