【11月11日 AFP】2021年に延期になった東京五輪の関係者が、米製薬大手ファイザー(Pfizer)が開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、「ほっと」したと話す一方で、大会に向けたウイルス対策に変更はないと強調した。

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 大会関係者は以前から、ワクチンは五輪開催の前提条件ではないと繰り返しているが、その一方でワクチンができれば準備や運営が格段にスムーズになることは把握しており、ファイザーのワクチンが4万人以上が参加した第3相臨床試験(治験)で90パーセントの有効性を示したというニュースを歓迎した。

 組織委員会の中村英正(Hidemasa Nakamura)氏は、記者会見で「組織委員会も社会からかけ離れた存在ではなく、ワクチンのニュースは私も聞いた」「みなさんはほっとされた、ポジティブな気持ちになったと思うが、組織委員会もそれと全く同じような気持ち」と話した。

 その一方で中村氏は、先週都内で開催された体操の国際大会を例に出しながら、「今われわれが行っているのは、ワクチンはまだ使われてはいないので、検査やソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)、選手と運営側が協力する、そういうことで安全安心な大会をつくり上げるということ」と話した。

 ファイザーが「重要な節目」と述べた治験結果が発表されたことで、各国で株価は急上昇し、市民の期待感も高まっている。東京五輪についても、パンデミック(世界的な大流行)が収まっていない中で来夏に開催できるのかという不安の声は根強いだけに、今回のニュースは日本政府と組織委員会の関係者にとってありがたいものになるとみられる。

 映像は10日撮影・提供。(c)AFP