【11月11日 AFP】欧州連合(EU)加盟国であるチェコの情報機関は10日、ロシアと中国のスパイが昨年、安全保障をはじめとするチェコの国益に差し迫った脅威をもたらしていたと報告した。

 チェコ保安情報庁(BIS)の年次報告書は、ロシアと中国が国外で国益を増進する上で、それぞれの情報機関が重要な役割を果たしていると指摘。

 両者には大きな違いがあり、「ロシアが敵対国を混乱させて弱体化を試みているのに対し、中国は、他の国々が中国の国益を正当と認める『中国中心主義』による国際社会を築こうとしている」と説明した。

 2019年、チェコ領内にはロシアの全ての情報機関が展開し、外交官を装ったスパイがロシアの国益を増進し、ロシアの政府見解やチェコにおけるロシアの評価を後押しする活動を行っていたという。

 一方、中国のスパイは外交官や記者、科学者などを装い、「チェコの開放的な環境を利用し、中国資本の投資を申し出た」という。特にテクノロジー、軍事、安全保障、インフラ、医療、経済、環境保護といった部門を標的に、好ましい中国像を創出する方法を模索していたとされる。

 さらにBISによると、チェコのサイバースペースも標的とされ、外務省や在外公館に加え、チェコのセキュリティーソフトメーカー「アバスト(Avast)」のインフラも攻撃されたという。これらのサイバー攻撃の背後にいるのはロシアと中国の情報機関で、最も多い手口はメールによるフィッシング攻撃やスピアフィッシング攻撃だと警告している。(c)AFP