【11月10日 AFP】(更新、写真追加)パレスチナ解放機構(PLO)の事務局長で、首席交渉官も務めたサエブ・アリカット(Saeb Erekat)氏が10日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の合併症により死去した。65歳。パレスチナ自治政府(PA)議長府が発表した。

 肺線維症を患い、肺移植手術を受けていたアリカット氏は、先月18日に搬送されていたエルサレム(Jerusalem)のハダッサ病院(Hadassah Hospital)で死去したという。

 自治政府のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長は、中東和平交渉で長くパレスチナ側を代表してきたアリカット氏の死はパレスチナの人々にとって「巨大な損失」だと述べて、「友人」に哀悼の意を表した。

 アッバス氏は、アリカット氏の訃報が発表された直後に出した声明で「兄弟であり友人、偉大な戦士だったサエブ・アリカット博士の旅立ちは、パレスチナとその人々にとって大きな損失であり、われわれは深く悲しんでいる」と述べた。

 アリカット氏は数週間前に重体に陥っていた。ハダッサ病院によれば、同氏は「集中治療室(ICU)で息を引き取った」という。

 1967年の第3次中東戦争(Six-Day War)で、イスラエルが近隣のアラブ諸国に圧勝する様子を目の当たりにしてきたアリカット氏は、中東の紛争解決に人生の大部分をささげた。

 1991年以降、極秘交渉を経て調印された1993年の暫定自治宣言、通称「オスロ合意(Oslo Agreement)」時の代表団を除き、対イスラエルの全交渉班に加わった。

 しかしアリカット氏の努力もむなしく、イスラエル側による入植地の拡大、散発する暴力行為、和平実現努力のこう着、パレスチナ内の分裂により、両者間の関係は悪化の一途をたどってきている。(c)AFP