【11月10日 AFP】米大統領選で勝利を確実にしたジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領(77)。来年1月、大統領としてホワイトハウス(White House)に足を踏み入れれば、世界最大の経済国である米国をつくり変える機会を得ることになるが、最初にすべき仕事は立て直しだ。

 バイデン氏は選挙遊説で、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の政策からの離脱を多数、公約した。それには最低賃金の引き上げ、税法の改定、大規模なインフラ投資、米国の温室ガス排出削減などが含まれている。

 これらの公約実現のためには、バイデン氏はまず、新型コロナウイルス感染拡大を抑制する必要がある。だが同時に、連邦議会のかじ取りをしなければならない。下院ではバイデン氏が所属する民主党がかろうじて過半数を確保しているが、上院の支配は今なお未確定で、議会は分裂する可能性がある。

■富裕層に増税

 バラク・オバマ(Barack Obama)前大統領期に副大統領を務めたバイデン氏は、オバマ氏と同じく、経済が混迷する中での就任となる。

 3月に可決された2兆2000億ドル(約230兆円)の経済刺激策「コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法(CARES Act)」は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大阻止のための事業閉鎖によって被った損害の一部を緩和する助けにはなったが、同法の中心的部分は期限切れとなり、米経済の救済には程遠い。

 米シンクタンク、「超党派政策センター(Bipartisan Policy Center)」の経済政策ディレクターのシャイ・アカバス(Shai Akabas)氏は、もし選挙で入れ替わる前の連邦議会がトランプ政権の最終段階で新たな対策法案の承認に失敗すれば、バイデン氏の初仕事の一つは経済刺激策の承認を取り付けることだと指摘する。

 その次の仕事は、事実上すべての米大統領が任期中に行う、税制への取り組みだ。

 トランプ氏は2017年に、法人と富裕層の減税を行った。

 スタンフォード経済政策研究所(Stanford Institute for Economic Policy ResearchSIEPR)のディレクターで上級研究員のマーク・デュガン(Mark Duggan)氏は、バイデン氏はこれらの減税を元に戻し、国内最大手企業と年収40万ドル(約4200万円)以上の個人の税率を引き上げようとするだろうと指摘する。

「一般的な米国人にとっては、バイデン政権による税制政策の変化はかなり小さいだろう。高所得者にとっては、きわめて大きくなるだろう」とデュガン氏は言う。