【11月8日 AFP】カマラ・ハリス(Kamala Harris)氏が米国初の女性副大統領としての歴史をつくると同時に、夫のダグ・エムホフ(Doug Emhoff)氏も米史上初めての「セカンド・ジェントルマン」として新天地を切り開くこととなる。

 2人はまた、米副大統領夫妻としては初めての異人種カップルだ。インド人とジャマイカ人の移民を両親に持つハリス氏と、白人のエムホフ氏は、2014年に結婚。ハリス氏は初婚で、エムホフ氏にとっては2度目の結婚となり、年齢は共に56歳だ。

 エムホフ氏が担う新たな役目「セカンド・ジェントルマン」、あるいは「セカンド・ハズバンド」の概略はまだ固まっておらず、これまでのところ同氏に明確な計画はない。

 伝統的に米大統領と副大統領の配偶者は、パートナーへの献身と主体性の間で慎重にバランスを取ることを期待されてきた。そして大半の配偶者は、慈善活動のプロモーションを選択してきた。

 エムホフ氏はメディアやスポーツ、エンターテインメント分野の法律に精通した弁護士で、ハリス氏の選挙運動の「秘密兵器」と称され、ソーシャルメディアで自身のフォロワーも獲得している。

 エムホフ氏は8月に多国籍法律事務所「DLAパイパー(DLA Piper)」を休職したが、同事務所はワシントンにロビー活動拠点があり、こうした状況はハリス氏の職務との間に厄介な利害対立を生みかねない。エムホフ氏は同事務所にとどまるかどうか明確に公表していないが、複数のインタビューでは無報酬で法律業務を継続する意向をにじませている。

 エムホフ氏には「セカンド・ジェントルマン」の他にも、米史上初の人物となることがある。米大統領、または副大統領の家族で初のユダヤ人であることだ。知人らは同氏について、戒律を厳守しないユダヤ人であるが、ユダヤ教に強く共鳴し、深く影響されていると語る。

 ニューヨーク・ブルックリン(Brooklyn)出身のエムホフ氏は、ニュージャージー州で育ち、ユダヤ人の夏季キャンプでスポーツの賞を獲得した楽しい思い出があると回顧している。高校時代に家族と共にロサンゼルスに転居し、南カリフォルニア大学(University of Southern California)で法律の学位を取得した後、複数の法律事務所を経てDLAパイパーに入所した。

 エムホフ氏は友人らの紹介でハリス氏と出会った時に「一目ぼれした」と後に振り返っている。エムホフ氏が最初の結婚で設けた子どもたちは、ジャズミュージシャンのジョン・コルトレーン(John Coltrane)とエラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)にちなんで「コール(Cole)」と「エラ(Ella)」と名づけられ、継母のハリス氏を「モマラ(Momala)」と呼んで受け入れている。前妻とは良好な関係を保っており、感謝祭をエムホフ氏一家と共に祝っている。

「次期セカンド・ジェントルマン」には、現職のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領と一つだけ共通点がある。共に熱心なゴルフ愛好家という点だ。(c)AFP