【11月7日 AFP】米政府は6日、中国が新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)での弾圧行為を正当化するためにたびたび非難してきた実体のはっきりしない勢力を米国のテロ組織認定リストから除外したと発表した。

 マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)国務長官は、東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)を「テロ組織」の認定リストから除外したことを明らかにした。同省の報道官は、「ETIMをリストから除外したのは、ETIMが存続している確証が10年以上前から得られていないため」だと説明している。

 ETIMはトルキスタン・イスラム党(TIP)とも呼ばれ、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)政権が2004年、米国が主導していた「対テロ戦争」で中国と利害が共通すると判断してリストに追加した。

 中国政府は、新疆ウイグル自治区における当局の措置を正当化するため、ETIMの襲撃を理由に挙げてたびたび非難してきた。しかし研究者らによると、ETIMが組織であることや、分離独立派が東トルキスタンと呼ぶ同自治区で行ったとされる襲撃について、中国はほとんど証拠を示していない。

 米政府の今回の発表を受け、中国外務省の報道官は6日、「米国の決定は極めて遺憾であり、強く抗議する」と述べ、「対テロ国際協調に逆行する行為はやめるべき」だと主張した。

 人権団体は、ウイグル人をはじめイスラム教徒が多いチュルク語系の少数民族100万人超が中国当局に拘束され、強制収容所に収容されていると指摘している。これに対し、中国政府は、施設の存在は認めているものの、ウイグル人らをイスラム過激派から遠ざけるために職業訓練センターを設置して標準中国語や専門技術を教えているだけだと反論している。(c)AFP