【11月6日 AFP】バングラデシュで6日、同国初となるトランスジェンダーのためのイスラム神学校が開校した。イスラム教指導者らは、差別の対象となってきたトランスジェンダーを社会に迎え入れる第一歩になると考えている。

 最大150万人とされる同国のトランスジェンダーは公然と差別を受けている。同性愛者間の性行為は、依然残っている植民地時代の法律に基づき、実刑こそまれとはいえ、禁錮刑に処される可能性もある。

 首都ダッカ近郊に新設されたこの学校には同日、トランスジェンダーの学生約50人が登校し、コーラン(イスラム教の聖典)を詠唱。学生の一人(33)は「非常にうれしい。この素晴らしい取り計らいをしてくれた師に感謝している」とAFPに話した。

 アブドル・ラーマン・アザド(Abdur Rahman Azad)師らは、地元の慈善団体からの資金協力を受け、3階建ての建物の最上階に同校を開設。

 アザド師はトランスジェンダーについて、「長らく悲惨な人生を送ってきた。学校やマドラサ(イスラム神学校)、モスク(イスラム礼拝所)にも行けなかった。差別の被害者となってきた。この責任はわれわれ、つまり社会と国にある」と指摘。

「この差別を終わらせたい。アラー(神)は人々を差別しない。イスラムは皆を人間として扱う」と語った。(c)AFP/Shafiqul ALAM