【11月6日 AFP】デンマーク政府は4日、突然変異を起こした新型コロナウイルスがミンク農場で検出されヒトへの感染が確認されたため、国内のミンクをすべて殺処分する方針を明らかにした。また同国のメッテ・フレデリクセン(Mette Frederiksen)首相は5日、北西部の住民28万人余りを対象に、移動制限などの特別措置を発表した。

 フレデリクセン氏は記者会見で、突然変異について「将来の(新型コロナウイルス)ワクチンの効果が、きちんと出ない恐れがある」と説明。「すべてのミンクを殺処分する必要がある」と表明した。

 また5日の記者会見で同氏は、「感染拡大を阻止するため、今夜以降、北部ユトランド(Jutland)7つの地域の市民に対し、できる限り地域内にとどまるよう求める」と表明。国民にこの地域への移動も控えるよう求め、飲食店も閉鎖されると述べた。地域内の公共交通機関は停止され、この地域発着のバスと電車の運行も停止される。フレデリクセン氏は地域の「実質的な閉鎖」に「世界の目が私たちに向けられている」とも話した。

 トーキル・フォーグダ(Thorkild Fogde)警察署長は殺処分を「できる限り早く」開始する方針を示した上で、農場1080か所のミンク1500万~1700万匹の殺処分は「非常に大規模な作業」だと認めた。

 ミンクの毛皮生産量世界一の同国ではこれまで、ミンク農場207か所で新型コロナウイルスが検出され、一部ではウイルスが突然変異を起こし、ヒトが変異型ウイルスに感染したことも確認されている。変異型ウイルスについて、保健当局も「通常のウイルスと同程度の抗体で阻害されない」と結論付けていた。

 新型コロナウイルス変異種はこれまで12人から検出され、うち11人が今回の制限措置対象地域の住民、残り1人が別の地域の住民だった。
 
 映像はミンクの殺処分作業にあたる当局職員、TV2 DENMARKが5日撮影・提供。(c)AFP