【11月5日 AFP】世界最大の氷山が、ペンギンやアザラシの大規模な集団営巣地のある南大西洋の離島、英領サウスジョージア(South Georgia)島に迫っており、間もなく衝突する恐れがあると英国南極研究所(BAS)が4日、AFPに明らかにした。もし衝突すれば、餌の捕食が妨げられ、繁殖ができなくなって生息数が大きく減少するかもしれないという。

【写真特集】世界のペンギン大集合

 氷山は南極の棚氷の一部が分離して海に崩落することで自然発生するが、発生頻度は気候変動の影響で加速している。問題の巨大氷山「A68a」は、南極で最も急速に温暖化が進んでいる西南極(West Antarctic)のラーセン棚氷(Larsen Ice Shelf)から2017年に分離した。

 指さす手のような形をした「A68a」は、現在の移動ペースが続けばあと20〜30日でサウスジョージア島にぶつかる。この氷山は全長160キロ、幅は最も広い部分で48キロもあるが、厚さは200メートル弱しかないため、島の浅瀬に乗り上げてしまう恐れが高い。

 BASのアンドリュー・フレミング(Andrew Fleming)氏はAFPに対し、「衝突する確率は半々とみている」と述べた。

 サウスジョージア島は、オウサマペンギン(キングペンギン)をはじめマカロニペンギン、ヒゲペンギン、ジェンツーペンギンの一大営巣地となっている。また、アザラシやオットセイ、ワタリアホウドリの繁殖地でもある。

 氷山がサウスジョージア島に乗り上げた場合、餌場へのルートが断たれ、親の給餌能力が阻害されかねない。そうなれば、餌をもらえずにペンギンやアザラシの赤ちゃんが死んでしまう恐れがある。また、海の生態系も氷山によって破壊され、回復には数十~数百年かかるとみられる。(c)AFP/Eléonore HUGHES