【11月5日 AFP】米オレゴン州は、3日の大統領選に合わせて実施した住民投票で、「ハードドラッグ」と呼ばれる習慣性のある麻薬を同国で初めて非犯罪化することを決めた。ヘロインやコカインの少量の所持は犯罪とはみなされなくなる。同時に、幻覚性成分を含む「マジックマッシュルーム」の医療目的での使用も全米初の合法化が決まった。

 州内での少量の違法薬物所持については今後、民事法違反とみなされる。また薬物依存者の治療や支援のための予算が拡充される。

 これを受けて麻薬合法化推進団体「ドラッグ・ポリシー・アライアンス(Drug Policy Alliance)」は、「ドラッグの使用や依存に対する処罰は、費用がかかる上、奏功していない。処罰ではなく治療を進める方が良いアプローチだ」と表明した。

 一方、依存症対策に取り組む地元団体などの反対派は、今回の措置により各地での取り組みが阻害される上、治療にむけた予算が確約されたわけではないと批判している。

 住民投票ではさらに、マジックマッシュルームの成分であるシロシビンについて、21歳以上のうつや依存症、不安症などの治療用の使用も合法化された。合法化を推進してきた精神療法医のトム・エカート(Tom Eckert)氏は、「オレゴンは、メンタルヘルス問題で危機的状況にある。複数の精神疾患で、罹患(りかん)率が国内で最も高いものもある。よって現状の施策は全く機能していない」と指摘した。

 オレゴンでは1973年、国内で初めてマリフアナ(乾燥大麻)が非犯罪化された。(c)AFP