【11月5日 Xinhua News】中国新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)南部のバインゴリン・モンゴル自治州チャルクリク(若羌)県内には、楼蘭古城やロプノールなどの神秘的な名所が多く点在している。中でもチャルクリク県文博館には毎年、国内外から10万人以上の観光客が訪れるが、その多くが館内の先史時代の陳列台に並ぶ十数本の玉斧(ぎょくふ)の前で足を止める。

 玉斧は、平たい台形をした玉器の一種で、青みを帯びているが濃淡にばらつきがある。表面は滑らかで細かく磨かれており、さまざまなサイズのいずれにも鋭利な刃がついている。同館の青銅器時代の玉斧2本は、国家1級文化財にも指定されている。

 同館の資料によると、約1万年前の後期旧石器時代から新石器時代の先人は既に玉を発見し、利用し始めていた。彼らが作った玉器には、実用的な斧やスコップ、ナイフ、戈(ほこ)などの生産道具や武器が含まれる。

 文博館の解説員、ラミラ・マイマイティさんは、ロプノール一帯で暮らしていた人々が石器を作る過程で、玉が他の石よりも硬く、玉で作った道具は長く使えることに偶然気付いたと説明する。玉を刃状に研ぎあげた道具や武器を作ることで、労働効率を高めるとともに、より強い殺傷能力を持つことができたという。

 前漢の張騫(Zhang Qian)が中原(黄河中下流域)に西域の情報を持ち帰って以降、交易でにぎわうシルクロードで新疆と中原各地を結ぶ玉石貿易が盛んになった。古代シルクロードの西域南道に位置するチャルクリクは、良質なホータン(和田)玉の産地でもあり、特に黄玉(トパーズ)で知られる。同県には現在、玉器を扱う店舗が百軒以上あるほか、楼蘭玉都商貿センターも設立され、数百元(1元=約16円)から数十万元の各種玉製品を販売している。(c)Xinhua News/AFPBB News