【11月3日 AFP】国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のミチェル・バチェレ(Michelle Bachelet)高等弁務官は2日、アルメニアとアゼルバイジャンが係争地ナゴルノカラバフ(Nagorno-Karabakh)をめぐる戦闘で一般市民がいる地域に「無差別攻撃」を行っていると厳しく非難し、そのような攻撃は「戦争犯罪」に当たると両国に警告した。

 バチェレ氏はまた、アゼルバイジャン兵が、捕らえたアルメニア兵2人を即決処刑した様子を撮影したとみられる動画について懸念も表明した。

 バチェレ氏は、自身だけでなく大勢が両国に対し、「一般市民の犠牲や民生用インフラへの損害を避けるため、少なくとも最小化するために取り得るあらゆる措置」を取るよう呼び掛けてきたにもかかわらず「住宅は破壊され、道路はがれきと化し、人々は避難したり、地下室に隠れたりすることを強いられている」と遺憾の意を表明した。

 さらに、軍事目標とそれ以外のものを区別し、攻撃は軍事目標にのみ行うとする「区別原則」と、攻撃による軍事的利益と一般市民への被害の程度や、武力攻撃とそれに対する自衛措置などを均衡させるという「均衡性(比例性)原則」に違反して行われた攻撃は戦争犯罪に当たり得るとして、この点について 「国際人権法はこの上なく明確だ」と強調した。

 アルメニアとアゼルバイジャンはスイス・ジュネーブで先月30日に行われた協議で一般市民を攻撃しないと明言していたが、国連人権高等弁務官事務所は、この週末に人口密集地への複数の攻撃が報告されていると指摘。特に、「両国がクラスター爆弾を使用したという極めて懸念される報告がある」ことは遺憾だとした。

 バチェレ氏は、アゼルバイジャン兵が捕らえたアルメニア兵を即決処刑した様子を撮影したとみられる動画が出回っていることにも深刻な懸念を表明し、「国際人道法では、保護下にある人物を故意に殺害するのはジュネーブ諸条約(Geneva Conventions)の違反に当たり、戦争犯罪だ」と述べた。(c)AFP